夢華録 第32話 顔の見えない再会 あらすじ
池蟠から永安楼が見世物小屋だった頃の思い出話を聞いた盼児は、官妓だった頃のことを思い出した。
引章の姉は、舞が好きな盼児を見世物小屋へ連れて行ってくれた。
官妓時代のことは辛い過去だが、誰にも蔑まれない見世物小屋での思い出は美しいものばかりだった。
盼児は舞台で舞った。
池蟠は引章の姉について尋ねたが、盼児は「聞かないで」と答えた。
盼児は、酒楼の中に見世物小屋を作ってはどうかと提案した。
しかし池蟠は、酒楼組合が”卑しい者が集えば酒楼の格を落とす”と言って許さないだろうと話した。
盼児から、”蔑む者の言うことを聞く必要があるのか”と問いかけられると、池蟠は開眼した。
美酒と美食があり、楽しい歌と雅な舞、そして俗楽や欲望もある場所。
演者も民も高官も貴人も共に楽しめる、そんな場所に永安楼をしたい。
盼児が展望を語ると、池蟠は感涙して同意した。
昏睡状態の顧千帆に、陳廉は盼児が大変だと語りかけた。
すると顧千帆は目を覚ました。
陳廉は盼児が池蟠に連れ去られケンカが始まり流血騒ぎになったと報告した。
盼児の身を案じる顧千帆だが、「私と盼児は一緒にはなれない」と言って会いに行こうとしなかった。
顧千帆の乗る馬車は、池蟠といる盼児たちに遭遇し停車した。
顧千帆は陳廉に、池蟠といる理由を聞きに行かせた。
脅されているのではと案じているのだ。
陳廉は「無事でしたか」と盼児に声をかけた。
馬車の御簾が少し捲れて中に誰かいるが分かる。
「私が誰といようと他人には関係ない」と盼児は大きな声で言った。
池蟠は馬車に近づくと、私たちは意気投合したのだと大声で言った。
去り際、引章は「役に立たない男」と馬車に向かって言い、三娘はお清めに火鉢を用意して盼児にまたがせ旧縁を切らせようと大声で叫んだ。
陳廉が馬車に戻ると、顧千帆は無事だと分かったので十分だと言い馬車を出させた。
顧千帆の表情は苦悶に歪んでいた。
盼児が意気消沈しているのを見た池蟠は、盼児を口説いた。
すると盼児は池蟠を叩いた。
元気づけるためにわざと口説いたのだと知った盼児は泣き笑いの表情を浮かべ、そのまま泣いた。
永安楼のリニューアルオープンに向けて、改装工事が始まった。
盼児は工事の監督を行い、三娘は超絶技巧を披露して料理人を従えた。
引章は妓女たちに出演料の他に歩合給を提示し喜ばれた。
招娣は給仕係たちを従えた。
高慧が盼児を訪ねてきて、欧陽に脅され嫁がされることになったと報告した。
復讐のターゲットとして次は盼児が狙われるはずだと、高慧は注意を促し帰っていった。
杜長風は欧陽に会いに行った。
杜長風は欧陽の留守中徳氏の面倒を見たが、欧陽は東京に帰っても居留守を使い杜長風に会おうとしなかった。
強引に屋敷に入った杜長風は、高慧との婚姻を考え直すよう言った。
欧陽は杜長風と三娘のことを知っており、盼児に復讐つもりはないから安心するようにと言った。
杜長風は桂花巷に行き、復讐するつもりはないという欧陽の言葉を盼児たちに伝えた。
その言葉の真偽はともかく、今は婚姻に注力しているので しばらくの間揉め事は起こさないだろうと盼児は考えた。
三娘は杜長風が何も言わないので、自分から好きだと伝え正式に娶って欲しいと話した。
杜長風は快諾した。
2人は永安楼が新装開店したら媒酌人を頼もうと話し合った。
子明は屋敷が見張られているようだと欧陽に話した。
すると欧陽は、顧千帆が盼児を案じ皇城司に見張らせているが中には入ってこないと話した。
そして、顧千帆も盼児も許す気はないと言った。
陳廉は招娣に会いに行き、母親の件で自分の考えを押し付けたことを詫びた。
陳廉は招娣に、顧千帆の心は変わっていないこと、顧千帆は盼児を避けたのではなく遼の使者を迎えた際重傷を負い、箝口令を敷かれたため伝えられなかったこと、金は荘園を2つ売り工面し届けたはずである事を伝えた。
招娣は言伝すらしなかったことを非難した。
すると陳廉は、昨日の晩も密かに様子を見に来たことや、欧陽に見張りを付けていることを話した。
陳廉は招娣に磨喝楽人形を渡し立ち去った。
世間では、沈如琢は林三司の侍女と密通し引章に指を折られたことになっていた。
しかし実際に折ったのは林三司だった。
引章は嵐の翌日役人をやり込めたことで、「風骨がある」と話題になっており林三司は手を出せず沈如琢を罰したそうだ。
引章は、”男は飽きたら替えるおもちゃのようなものだ”と言う、皮肉屋になっていた。
招娣は盼児に、陳廉から聞いた話をした。
ではなぜ馬車を下りて会おうとしなかったのか、盼児にはそのことが疑問だった。
感想
盼児たちは永安楼の新装開店に向けて準備を始めようとした矢先、顧千帆に会いました。
酒楼の件で回復しつつあった心は、顧千帆と出会ってまた暗黒モードに。
けれど池蟠の怒らせる作戦が功を奏し、少しだけ笑顔になれました。
泣いたことと工事が始まったことで日常を取り戻しつつある盼児。
顧千帆が昏睡状態から醒めたのは、盼児のことが心配だったからでした。
辛い体を押して盼児の様子を見に行き、会えたのに会おうとしない。
前にも書きましたが、簫欽言が盼児にとって親の仇かどうかは、解釈が分かれるところだと思うので、顧千帆には盼児に全部話してみて欲しいです。
盼児が捨てられたと思うくらい、2人は会っていなかった。
一体どれくらい会っていなかったんでしょうか?
ふと疑問に思い、見返してきました。
帽妖事件を解決した顧千帆は昇進し念願だった淑娘の墓を建て盼児に会いに行きました(26話終わり)。
顧千帆は昇進し家にも帰れないくらい忙しく、2人は会えない日が続いていましたが陳廉が店に顔を出していました。
顧千帆が盼児の父の件を知ったのは27話でした。
それ以来顧千帆は盼児を避けています。
同じころ、盼児たちは望月楼の契約について杜長風に証文をチェックしてもらっていました。
翌日
杜長風と三娘はデートし、同じ日に陳廉が招娣とお母さんのことでひどいケンカをしました。
陳廉は顧千帆に頼み、1月以上かかる地方の任務に就きました(ここから28話)。
顧千帆は盼児に会いたくなり眠る盼児の部屋に3000貫の券を置いて行きました。
翌々日 望月楼に明日までお金を待って欲しいと交渉。
三娘は”顧千帆が避けているんじゃ?”と発言。しかし盼児は信じていました。
顧千帆は耶律宗盛を守り深手を負いました(2日間気を失う)。
4日後
望月楼と契約。
6or7日後(?)
顧千帆、東京に戻るも倒れて昏睡状態に(ここから29話)。
9日後
望月楼との契約では、”手付金5割を5日以内に完済”となっていましたが期日に払えませんでした。(ここから30話) 盼児は顧千帆に騙されたのだと受け入れました。
引章は林三司の家で沈如琢と決別。
夜は酷い嵐に。
10日後
役人をやり込めました(ここから31話)。
池蟠から永安楼を任されることに。
陳廉帰ってきました(密書を受け急行)。
瀉血をし、盼児の名を聞き顧千帆目覚めました(ここから32話)。
その足で馬車に乗り出かけて盼児たちに出会いました。
昇進した顧千帆と盼児がどれくらい会えていなかったのか分からないので、2人が本当の所何日間会えなかったのかは分かりません。
ただ、27話までは陳廉が顧千帆とのつなぎ役として半遮面に来ていましたので、多分何も問題はなかったはずです。
陳廉すら来なくなって9日で、盼児は顧千帆を見限ってました。
こう見ると、かなり早い気がしました。
それまでは激甘な空気を醸し出していた相手を9日で見限れるんですね。
お金が絡みはじめたら連絡がつかなくなった、という事情もあるから、余計騙されたと感じてしまったんでしょうが、9日は早いような?
そして三娘は2日後には疑ってて笑いました。
顧千帆の職業は危険と隣り合わせで機密事項も多い。
職業的にも連絡取れない日がありそうな気が?
招娣とケンカしたことで、陳廉すらばったり来なくなったのが悪かったですね。
せめて陳廉が遠くの任務に就くと連絡をしてくれてたら…。
そして自分の代わりに孔午辺りに盼児とのつなぎ役を頼んでくれてたら…。
顧千帆が無言で3000貫置いて行かなかったら…。
悪いことが重なって、今の状態があるようです。
私が今一番心配しているのは3000貫の券の行方です。
招娣が他の紙と一緒に机の上に置いてから8日が経過しています。
大嵐のあと、あの券はどうなっているのか。
無事でいて欲しいです。
とにもかくにも、陳廉が帰ってきて盼児に顧千帆の気持ちが間接的に伝わりました。
あとは、盼児が顧千帆と話せばきっと2人は上手く行くはず。
元の2人に早く戻って欲しいです。
欧陽は盼児と顧千帆に復讐を誓っています。
もうここまでくると、「盼児に復讐なんて考えていない」と杜長風に言った欧陽の言葉は微塵も信じませんでした。
残りの話数は8話。
欧陽がラスボスか!?
いったいどんな悪事を企んでいるのか、欧陽は切り裂きジャックなのか、楽しみに待ちたいと思います。
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