馭鮫記(ぎょこうき)前編:月に君を想う 第10話 あらすじ
暁星が雲禾に助けられたことを話し雲禾を助けたいと言うと、昊青は寒霜により万花谷の御霊師は支配されていることを話した。
そして表立って雲禾を救えない自分の右腕になってほしいと頼んだ。
暁星は承諾し、なぜ雲禾を救いたいのか尋ねたが、昊青は話さなかった。
昊青を殴ったことで、雲禾は赤尾鞭60回の罰を受けていた。
昊青が止めに入ると、林滄瀾は残りの罰の執行を昊青が行うよう言った。
雲禾が促すと昊青は雲禾を鞭打った。
すると赤尾鞭が切れた。
木沢長老が雲禾をかばうと、林滄瀾は雲禾への罰を終わらせた。
昊青は林滄瀾が咳込んだのを見て、薬を持っていった。
すると中の会話が聞こえてきた。
林滄瀾は”昊青の心がまだ弱いので最後の研磨剤を使う”と話すと、木沢長老には解毒剤を与えないよう卿舒に指示を出した。
林滄瀾はわざと昊青に話を聞かせたのだった。
屋敷に帰った昊青は、次は雲禾を殺せと言われるだろうし、雲禾がしねば次の者が犠牲になると言って酒を飲んだ。
林滄瀾を消すことを決意した昊青は、雲禾を呼び出した。
昊青は雲禾が林滄瀾に命じられ突き落としたことを知っていると話し、手を組みたいと言った。
”雲禾には時間がなく林滄瀾の手先のままでは先がない”と言われた雲禾は条件を出した。
昊青が谷主になったら長意と万花谷を出たい、と。
昊青は考えておくと言った。
2人は幼いころ編みだした鎖霊陣で卿舒に対抗することにした。
鎖霊陣を強化するため2人は密かに修練し始めた。
場所は誰も来ず、2人の思い出の場所でもある花海が選ばれた。
修練の合間に、雲禾は長意を畑に連れて行った。
人間界の野菜の種を雲禾は育てているのだ。
雲禾は長意が故郷から遠く離れても自分が長意の家になると約束した。
2人は一緒に芋を焼いて食べた。
林滄瀾と戦うと言えば長意は力を貸してくれるだろう。
しかし雲禾は長意にこれ以上犠牲を払わせたくなくて秘密にすることにした。
昊青は林滄瀾の霊力の衰え具合を見るため薬を届けた。
林滄瀾は昊青のけがを心配し天庭から賜った薬を渡した。
”雲禾も殺せないほど心の弱い昊青では万花谷を守りかの者と戦えない”と、林滄瀾は卿舒に話した。
100年雲禾に霊力を注いだ自分は最期の後押しをすることしかできないという林滄瀾の話を聞いて、卿舒は“最後の研磨石”が林滄瀾自身だと悟った。
長意は雲禾がどこに行くのか気になり、後をつけた。
しかし洛洛に阻まれた。
ところが洛洛は長意の差し出す真珠に目がくらみ話してしまった。
雲禾と昊青は、張仙使が来る3日後を決行日と定めた。
昊青の手に傷があるのに気付いた雲禾は、昊青と暁星は永遠に友だと言って傷口に布を巻いた。
そこに「なでてはだめだ」と言って、長意が現れた。
家に帰った雲禾は、長意に林滄瀾と戦うことを話した。
勝てる確率は五分五分で、長意に犠牲を払わせたくないと雲禾は言った。
すると長意は、鮫人はただ1人と添い遂げるものだから、自分だけ生かそうとするのは間違っていると抗議した。
雲禾は長意にも協力してもらうことにした。
策はあるが昊青を助けたくないと言う長意に、雲禾は織造仙君の弟子に頼み造った衣を贈った。
なでて治す術は自分以外に使わないでほしいと頼まれ、雲禾は承諾した。
感想
昊青は父親を倒し谷主になることを決意し、雲禾と仲直りして手を組みました。
林滄瀾が雲禾に100年がかりで何か術を施しており、それが完成間近ということは今までにも出てきました。
それがどんなものなのかは分かりませんが、林滄瀾が雲禾に術を施しているのも、昊青を鍛えているのも、“かの者”から万花谷を守るためらしいことが分かりました。
いままでも林滄瀾の話の中に“かの者”は出てきていましたが、それは雲禾のことだと私は思っていました。
けれど“かの者”は雲禾ではなく誰か別の人で、万花谷に害を及ぼす人のようです。
それは誰なのか。
林滄瀾は最初の研磨剤として花花を選び、次に雲禾を選び、最後に自分を昊青の研磨剤にしました。
全員昊青と親しい人です。
そして昊青に冷酷になるよう求めています。
このことから察するに、“かの者”は昊青にとって雲禾や林滄瀾と同じくらい親しい人ではないでしょうか?
そういえば、お母さんが出てきていません。
もしかして“かの者”とは昊青のお母さんでしょうか?
前回卿舒が林滄瀾を好きなのではないかと考えた時、昊青の母親はどこにいるのか疑問に思いました。
そんな風にお母さんについて考えていたので、短絡的に母親が“かの者”かもしれないと思ってしまったのだと思いますが、割と悪くない推理なような気がしますがどうでしょうか。
毎回新たな謎が浮かび上がり、とても楽しいです。
林滄瀾が雲禾に何か術を施していて、そして昊青は雲禾には「時間がない」と言っていました。
林滄瀾はあと1回で術が完成すると言っています。
完成したらどうなるんでしょうか?
気になるセリフとしては、「私は紀雲禾の体に心血を注いだ。昊青は悟りを得なければ紀雲禾を制御できぬ」という林滄瀾のセリフ、「耐えるだけではお前(雲禾)は自滅する。お前には時間がない」という昊青のセリフでしょうか。
特に気になるのは“制御”という単語です。
制御の意味は「1相手を押さえて自分の思うように動かすこと。2機械・化学反応・電子回路などを目的の状態にするために適当な操作・調整をすること。」だそうです。
制御/制禦/制馭(せいぎょ)とは? 意味・読み方・使い方をわかりやすく解説 – goo国語辞書
術が完成した雲禾は昊青が制御しなければならない存在になる、ということでしょうか?
どうしても「2」の意味で考えてしまい、殺戮マシーンとか、そういうものに雲禾がなってしまうのではないかと心配です。
昊青が意味深に「時間がない」と言っていたのも、その時が来たら雲禾は雲禾でなくなってしまうように感じられて怖いです。
昊青に手を組みたいと言われた雲禾は、最初は「数百年も争った私たちはもうあの頃とは違う」なんて言っていました。
けれど卿舒たちの知らない、2人で編み出した鎖霊陣で対抗することに決め、思い出の花海で修練を続けたことですっかり雲禾の中でのわだかまりは解けたように見えました。
「あなた(昊青)と同じく彼(暁星)は永遠に私の友よ」なんて言ってました。
昊青は永遠の友と言われ、長意と谷を出て行きたいと言われたことをどう感じているんでしょうか?
家族として寂しいけれど受け入れているのか、雲禾を恋愛対象として好きだから苦しい気持ちを抱えているのか。
後者であってほしいと、思ってしまったりしています。
長意と雲禾は、もうすっかり夫婦感覚ですね。
雲禾は伴侶にふさわしい特別な衣を長意のために用意していたみたいですし、長意は一生添い遂げ決して離れないと言って戦いに参戦することを決めました。
雲禾が他の人を撫でることに嫉妬心を覚えた長意が、なでなで禁止令をだしたのは可愛かったです。
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