馭鮫記(ぎょこうき)後編:月に愛を誓う 第10話 あらすじ
天君は長意を訪ねたが、長意は現れず何日も待ち続けた。
雲禾が命懸けで守った人物なのだから奮起するだろうと信じて。
長意は雲苑で雲禾の側にいた。
風が吹き、窓辺から広物集が転がり、間に挟んであった雲禾の手紙がひらりと舞った。
死んだ後も風に身を任せ世間を見られれば満足だという文章と共に、崖の上で身を寄せて座る雲禾と長意の姿が描かれていた。
手紙を読んだ長意は、雲苑から出て天君に会った。
天君は北淵に対して償いたいことと、協力し仙師府を倒し平和を取り戻したいことを話した。
長意はかつて雲禾と訪ねた人間界の街を見に行き雲禾との思い出に浸った。
北淵に戻った長意は、雲禾に赤い衣装を着せ雪原に連れて行った。
長意は涙を流し、涙は赤い真珠となった。
雲禾の体と長意の涙は赤い光となって消えた。
長意は雲苑を封印した。
雲苑から持ち出した広物集が落ち、頁が開いた。
そこには雲禾の字で 寧清 と書かれていた。
長意は手掛かりかもしれないと思い、広物集を天君に見せることにした。
天君は広物集についての説明を求めた。
すると空明が現れ、全てを話した。
雲禾は空明に寧悉語から聞いたことを全て話しておいたのだ。
空明は金蓮をくれた人物が天君だと知った。
かつて寧悉語は寧清を連れて各地を遊歴し、とある山を訪ねた。
その山では最も憧れることと恐れることが幻覚となって現れ別の世界だと感じられた。
寧悉語はその山を“無名山”と名付け広物集に記しておいた。
力を手に入れたいと考えた寧清はその山に行き、戻ると力を得ていた。
寧悉語は風になり寧清を追いかけたが、その山には入れなかったそうだ。
寧悉語は密室の絵に何かがあると雲禾に伝えていた。
話を聞いた長意は、仙師を倒すカギはその山にあると考えた。
広物集を眺めた天君は、その山が仙令の示した図と酷似していることに気づいた。
天君は広物集を預かり山を探しに行き、長意は北淵を守ることになった。
天君は“数千年後故人も戻るだろう”という言葉を残し去った。
卿瑶は昊青と思語を解放した。
御霊師の内 北淵に帰順したい者は受け入れられ、去りたい者は空明が寒霜を和らげ望むようにさせたと卿瑶は話した。
昊青は万花谷に残る者を守り寒霜を解く方法を探すため谷に戻ることに決めた。
東濂長老率いる一軍は昊青に従うと言い、昊青は人間界での薬材探しを東濂長老に頼んだ。
暁星も昊青に従うと言った。
昊青は暁星に北淵に留まり仲間の面倒を見てほしいと頼んだ。
何かを捜している昊青は、林の中で狐を見つけた。
雲禾の身体には双脈があった。
天仙の御霊師としての脈は消えたが、狐の形で雲禾の元神は留められていた。
天仙としての脈は滅び、完全な九尾狐としてよみがえることができるのだと昊青は思語に話した。
雲禾を仙姫に渡してもこの方法で欺こうとしていたのだと、思語は気づいた。
犠牲を払ってきた雲禾に過去を忘れさせたい。
そう思った昊青は、長意にも知らせず狐の雲禾を連れ帰った。
疎ましく思ったこともあるが、雲禾は人生最高の友だった、雲禾の願いをかなえたいと三月は離殊に話した。
天君について行くと決意した三月と、離殊も行動を共にした。
雲禾がいない世界で生きていても無意味だと、洛洛は酒に溺れていた。
自分の道は必ず見つかるから、それまでは体を大切にしろ、と空明は声をかけた。
万花谷に戻った昊青は、雲禾の家を表向き壊したことにして家と花海に結界を張った。
雲禾は花海が好きだったからだ。
昊青が半生分の霊力を狐に注ぐと、雲禾は子供の姿になった。
雲禾は記憶を失っていたが、長意の赤い涙を持っていた。
昊青は雲禾に阿紀という名を与え、自分を師匠だと言った。
黒いもやもやは“契約を忘れるな、裏切るなら新たな盟友を探す”と言って仙師をけしかけていた。
仙姫の夢に黒いもやが現れ、力こそすべてなのだ、力がないから仙師や天君に蔑まれ禁足にされたのだ、ここを出たいなら他人の霊力を奪え、人間界へ行った御霊師の霊力を奪え、と唆した。
全世界の民は自分にひれ伏すべきだと、仙姫は残忍さを取り戻した。
仙姫の右手には黒いもやが宿っていた。
目を覚ました仙姫の右手にも もやがあった。
他人の霊力を自分の物にできるだろうかと考えた仙姫は、やってきた侍女で試した。
霊力を奪えることを確認した仙姫は、朱凌を呼ぶよう命じた。
感想
雲禾が世を去り、長意は引きこもりになっていました。
天君が訪ねてきても会わない引きこもり具合なので、よっぽどですよね。
しかし風が吹き、広物集の間から雲禾の手紙が出てきたことで長意の時間は動き始めました。
最初に風が吹く場面を見た時は、雲禾も寧悉語と同じように風になって長意に残した手紙を伝えようとしているのかな、と思いました。
けれど雲禾の元神は狐の体に留まっていますから、あの風は寧悉語なんでしょうね。
寧悉語が長意に雲禾の手紙の存在を教えてくれたんですね。
それから寧清が力を得たヒントについても、寧悉語が風を使い知らせてくれたのだと思います。
転がり落ちた広物集は風に揺れてました。
手紙を読んだ長意は雲禾に赤い衣装を着せ、雪原に連れて行きました。
長意は赤い涙を流し、雲禾は赤い光になって身体ごと消えてしまいました。
長意の涙も一緒に消えました。
雲禾は生きかえるだろう、何かの芝居だろうと思っていたので、雲禾が消えてしまった時には本当にショックを受けました。
雲禾は万花谷とは正反対の、清らかな雪の降る北の島に移住しようと洛洛と話してました。(前編1話)
だから雲禾は理想の地で逝くことができたのかな、なんて考えながら泣きました。
長意は天に昇っていく雲禾の光を見ながら『雲禾、君はもう世界中を自由に飛び回れる。世間の争いや束縛は私が取り払おう』と語り掛けていました。
風になった雲禾に争いのない世界を見せるために、長意は天君と協力することにしたのかな、と思いました。
仙師の書斎の密室に飾られた絵の中にいる もやもや について、かなりの部分が明らかになりました。
あのもやもやの正体は、無名山から繋がっている異世界の何かのようです。
無名山は仙令が指示した場所でもあると判明しました。
天君は長意の率いる北淵と協力関係を築き、三月と離殊をパーティーに加えました。
着々と天君が勢力を伸ばし、核心に迫ってきています。
涙も渇かないうちに、雲禾が生きていることが判明しました!
雲禾は双脈だから、人の形の雲禾は消えてしまっても狐の形の雲禾は残るらしい(?)
昊青はこうなることを予見していたから、雲禾を仙姫に差し出そうとしていたと言うことでした。
そうでしたか。
あの件で昊青に対して少しの不信感を持つことになったので、違うと分かって本当によかったです。
狐の雲禾も可愛かったですが、昊青が半生分の霊力を与えると、万花谷に連れてこられたころの子供の雲禾が出現しました。
昊青のおかげで人の形を取り戻すことができましたが、雲禾は記憶喪失です。
昊青はこれから師匠として子供の雲禾を導くつもりのようです。
昊青の子育て奮闘記が次回から始まると言うことなんでしょうか?
雲禾は子供のころから林滄瀾にハードに鍛えられていました。
今度は昊青が父親役ですから、甘々に育てられるのではないでしょうか。
そして数百年経ったら長意のところに嫁入りする感じになるんでしょうか?
昊青は手塩にかけて育てた娘を涙ながらに見送る、みたいな?
もう すでに泣けます。
長意は数千年待つつもりみたいでしたから、数百年なら余裕で待てそうですよね。
もやもやは仙師をけしかけようとしていますが、仙師は煮え切らない態度です。
そんな中、もやもやは仙姫に目を付けたようです。
仙姫の右手がもやもやになってしまいました。
仙姫がラスボスになってしまうんでしょうか?
前回、天君は次に過ちを犯したら姉を捨てると言っていました。
可哀想な人だから何をしてもいい訳ではないですが、それでも仙姫がもやもやに利用されてしまうと考えるとやるせない気持ちになります。
もやもやは、今すぐ仙姫を解放してあげてください。
本当にお願いします。
もやもやは仙姫に人間界へ行った御霊師を狙うようけしかけていました。
もしかして東濂長老たちが危ないでしょうか?
今すぐ逃げてください。
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