『三体』の原作小説三部作と全日譚である『三体0 球状閃電』公式外伝の『三体X 観想之空』、中国ドラマ版、Netflix版、全て読んで、みて来ました。
そこでそれぞれの違いをまとめました。
中国ドラマ版を見た方、Netflix版を見た方、原作小説を読んだ方、それぞれの方に向けて書きましたので、目次からジャンプしてください。
私の見た順番は中国ドラマ版→Netflix版→原作小説という順番です。
全部見ようと思った理由は中国ドラマ版がとても好きだからです。
Netflix版を見て中国ドラマ版と大きく違うことに戸惑いました。
この戸惑いを解決しようと原作を読んでみて、Netflix版がやろうとしていることを知りました。
正直、最初にNetflix版を観た時は、「う~ん」という感想だったのですが、原作を読んでからは“すごいことに挑戦している”と分かり、良い方向に見方が変わりました。
原作もドラマも見ていない場合、どれを見るのがおススメ?
『三体』という作品に興味があり、手を出してみたいけれどどれを見ればわからないという方はどれを見るのがいいか考えてみました。
時間が取れる かつ 読書好きの方→原作小説がおススメです。
小説は『三体』『三体Ⅱ 暗黒森林 (上・下)』『三体Ⅲ 死神永生(上・下)』『三体0 球状閃電』と計6冊あります。
その内、ドラマ化されているのは中国版では『三体』だけです。
Netflix版は『三体』全部と『三体Ⅱ』『三体Ⅲ』の最初の部分が映像化されています。
ドラマ版では中国版にしろNetflix版にしろ三体世界全てをドラマ化するには至っていません。
その点、小説で読めば三体世界に浸り、その全てを見届けることができます。
小説版もとても面白く、没頭して読めてしまうので大変おススメです。
多くの方が、ドラマ版を見てから結局原作小説に興味を持つことになると思うので、最初から原作小説を見てしまうという選択肢もいいと思います!
時間は取れる&ドラマで見たい方→中国ドラマ版がおススメです。
中国ドラマ版は『三体』という1冊の本を約40分×30話という時間をかけて映像化しています。
内容は原作とほとんど同じです。
大きな違いはドラマ版にはオリジナルキャラクターが登場すること、それに付随してオリジナルキャラクターに関わるキャラクターの活躍する場面が増えるということです。
また、原作には描かれている中国の歴史における政治的な背景が、ドラマ版では省略されているという違いや 見る者の倫理観を揺さぶるような描写がマイルドにされているなどの違いがあります。
時間がない方→Netflix版がおススメです。
時間がないけれど『三体』の世界を体験してみたい、どんな話か知りたいという方は、Netflix版がおススメです。
Netflix版は『三体』1冊分の内容と、『三体Ⅱ 暗黒森林(上)』の1/3ほど、『三体Ⅲ 死神永生(上)』の1/3ほどが約55分×8話にギュッと凝縮されています。
中国ドラマ版ではざっくり20時間(約40分×30話)で描かれた内容に、さらに続編のエピソードも追加されたものを半分以下の時間で吸収できるので、タイパはとてもいいと思います。
ただし、内容は中国ドラマ版に比べると あらすじ的な印象を受けてしまうと思います。
私は中国ドラマ版の最終回のラストシーンが好きです。
Netflix版にも同様のシーンがありキャラクターは同じセリフを話すのですが、それまでが駆け足すぎるためか感動が中国版に比べると薄いように感じました。
もちろん、感動が薄い原因は、私がすでに1度見てしまっているからだという可能性もあります。
メリットとして、Netflix版の方がキャラクターの名前を憶えやすいと思います。
原作では主要人物が全員中国人であるため、中国ドラマをあまり見ないという方は耳慣れない名前が覚えにくいと思います。
その点、Netflix版では主要登場人物が英語圏の人にチェンジされているため、名前を憶えやすいと思います。
また、Netflix版では中国ドラマ版で省略されている中国の歴史的政治的文脈や残酷な現実などがきっちり描かれています。
中国ドラマ版では原作をマイルドに改変している部分が、原作に忠実に描かれています。
デメリットもありますが、時間がないけれど、『三体』というのがどんなドラマか知りたい!という方はNetflix版がおススメです。
中国ドラマ版を見た方向け 原作、Netflix版との違いは?
中国ドラマ版を見て、原作やNetflix版に興味を持ったという方に、両者との違いをざっくりと紹介します。
原作との違い
一番違うと感じたのは、葉文潔に関することです。
中国ドラマ版を初めて見た時、私は 主人公は汪淼だと思って見ていました。
もちろん、全部見終わってから振り返ると、葉文潔は主人公以外の何者でもないのですが、ドラマを見ているときは葉文潔を主人公だと思って見ていませんでした。
その点、原作では第1部でまず葉文潔について描かれます。
葉文潔が紅岸基地に入るところまでが まず描かれています。
そのため、葉文潔を主人公だと認識するのがドラマ版よりも早いように思いました。
ドラマを見た段階での葉文潔の印象は、“淡々とした天才”というものでしたが、原作小説を読んで なぜ彼女が淡々としているのか、その理由を知りました。
原作では葉文潔の内面が文字となって書かれているため、彼女についての理解を深めることができると思います。
また、原作では葉文潔が建設兵団に入る前のことも描かれています。
歴史を知らない私は、葉文潔のような科学者がなぜ肉体労働に従事しているのか疑問に思いました。
ドラマにはその部分がほとんど描かれていませんが、原作には描かれています。
原作に慕星はいません。
ジャーナリストの慕星は原作にはいません。
慕星はドラマオリジナルキャラクターです。
そのためドラマでは、慕星と関わることになる潘寒と史強の活躍場面が原作よりも増えています。
個人的にはドラマ版の方が、史強と汪淼の絆が深く描かれているように感じました。
古箏作戦における違い
ドラマでは<審判の日>号の乗組員は札付きの悪ばかりとされていましたが、原作にはそのような表現はありません。
原作でもドラマ版でも同じ作戦が行われますが、乗組員の属性が異なることで、視聴者が感じる行為の残酷さが変わるように思いました。
ドラマ版では、政治的文脈を省略していたり、乗組員を極悪人ばかりとするなど、目を覆いたくなるようなものをマイルドにしていると思いました。
Netflix版との違い
Netflix版との大きな違いは、Netflix版には『三体Ⅱ』と『三体Ⅲ』の内容も盛り込まれているということです。
Netflix版では『三体』『三体Ⅱ』『三体Ⅲ』の主人公たちが皆友達ということになっており、友人たちの群像劇というような形で物語が展開していきます。
また、中国ドラマ版での、汪淼は、ナノテクの開発者であり、カウントダウンを体験したり三体ゲーム内の問題を解いたりしますが、Netflix版ではカウントダウンを体験する人と三体ゲームの問題を解く人が別の人物になっています。
汪淼はナノテク・カウントダウン担当、丁儀に『三体Ⅲ』の主人公が合流した人がゲームの謎解き担当となっており2人は仲良しという形です。
また、汪淼的な人も丁儀的な人も女性になっています。
コンパクトにまとめるために汪淼に起こることを2人に担当させて同時並行的に描くという手法を取ったのかな、と思いました。
主人公が女性になっているため、中国ドラマ版のような男同士の熱い友情・絆のようなドラマとは雰囲気がだいぶ異なっています。
アッと驚いたところでは、楊冬の父親が別の人になっていて、楊衛寧がただの嫌な奴になっていることでした。
個人的には楊衛寧は葉文潔を救うために動いた人だと思っているので、この改変はショックでしたがNetflix版の環境(舞台がイギリス)を考えると改変版も悪くはない、ありえなくはないのかな、と思いました。
ゲームに関する違い
三体ゲームを造ったのがNetflix版では三体になっています。
また、楊冬と同じ顔の人物がゲームに繰り返し出てきているという設定が加わっています。
お色気シーンの追加
原作にない(人間関係的にあってもおかしくないが、原作には描かれていない)お色気シーンが追加されているので、家族団らんで見ようと思っている方は注意してください。
Netflix版を見た方向け 原作、中国ドラマ版との違いは?
Netflix版を見て、原作や中国ドラマ版に興味を持ったという方に、両者との違いをざっくりと紹介します。
原作との違い
Netflix版では『三体』『三体Ⅱ』『三体Ⅲ』の主人公たちが皆友達ということになっています。
例えば、オギーは『三体Ⅰ』の主人公、ソールは『三体Ⅱ』の主人公、ジンは『三体Ⅲ』の主人公、ウィルは『三体Ⅲ』の重要人物です。原作では彼らは最初、互いに面識がない(後々出会うこともある)です。
また、ジンに該当する人物にNetflix版では恋人がいますが、原作では恋人はいません(少なくとも出てきません)。
これは文化的違いで必要な改変なのだと思いますが、原作ではジンに恋人がいないので、ウィルの痛々しさ(?)が軽減されています😆
Netflix版では三体ゲームは三体側が作ったことになっていますが、原作では地球で作られたことになっています。
原作小説で描かれる時間はかなり長い期間なのですが、Netflix版は独自の路線を取り入れているので、これからの未来が原作とは変わりそうな予感がしています。
中国ドラマ版との違い
中国ドラマ版は、『三体』の内容のみドラマ化されています。
そのため、オギーと葉文潔の話が中心で、ウィルとジンの話やソールの話は(まだ)出てきません。
Netflix版を見て、ウィルやジンの話の続き、ソールの話の続きを知りたいと思って中国ドラマ版を見ても知ることはできませんので、原作小説を読んでください。
Netflix版は「16+」という推奨年齢が記されていますが、中国ドラマ版はそういった年齢指定はされていないようで、全体的に表現がマイルドになっています。
また、原作でも中国ドラマ版でもオギーに該当する人物が男性になっています。
そして特に中国ドラマ版では、シー捜査官がたくさん活躍し、主人公とシー捜査官が友情をはぐくんでいくというドラマにもなっているのでまた別の楽しみ方ができると思います。
原作を読んだ方向け 中国ドラマ版とNetflix版との違いは?
原作小説を読んでNetflix版や中国ドラマ版に興味を持ったという方に、両者との違いをざっくりと紹介します。
中国ドラマ版との違い
中国ドラマ版では原作小説の第1部「1 狂乱の時代 1967年、中国」の内容が省略されているなど、政治的文脈が抜け落ちています。
また、<審判の日>号の乗組員が札付きの悪ばかりとされているなど、裁判せずに死刑に処すことについての もやもや を緩和しようという試みがされています。
全体的に原作小説よりもマイルドになっている印象を受けました。
オリジナルキャラクターが出てきており、そのキャラクターに関わる史強と潘寒の活躍シーンが増えています。
全体的には原作小説に忠実につくられているドラマだと思います。
Netflix版との違い
Netflix版は『三体』の登場人物汪淼と『三体Ⅱ 暗黒森林 (上・下)』の登場人物羅輯、『三体Ⅲ 死神永生(上・下)』の程心や雲天明が皆友達となっており、彼らに起こることを群像劇のような形で描いています。
同時に3つの物語が進行していて、すごいことをやろうとしていると感じました。
配信されている8話までで、『三体』の内容に加えて『三体Ⅱ』と『三体Ⅲ』の内容もそれぞれの上巻の1/3程度描かれています。
かなりの分量を440分ほどという短い時間でまとめているため内容はあらすじ的な印象です。
物語の内容に関わりそうな違い
原作では、三体ゲームはETOが作ったとされています(『三体』初版350頁参照)が、Netflix版では三体がゲームを作ったということになっており、ゲームに入るために装着する装置も三体世界の素材(現在の地球にはない素材)でできています。
原作において、三体文明は地球の科学技術の発展を恐れ、一定の段階まで地球に対して技術を提供しようとはしませんでした。
しかしNetflix版では西暦時代から地球に三体文明の技術力で作られた物が存在しています。
それを科学者たちが使っています。
このことから、Netflix版では地球の科学技術の発達レベルが原作とは異なってくるのではないか、そのため展開に違いが生まれるのではないかと楽しみにしています。
もし今後8話以降が配信されることになれば、原作を読んだ方でも知らない未来が出てくるのではないかとちょっとワクワクしています。
シリーズを見るうえで知っておきたい贈与税のこと
中国ドラマ版ではまだ描かれていませんが、原作小説やNetflix版では、とある人物がとある人物に対して非常に高額な贈り物をするというシーンがあります。
そのシーンを見て、日本人の私は青ざめました。
贈与税払えるのか…これ…🥶🥶🥶と青ざめてました。
しかし受け取った人物は青ざめておらず、なぜだろうと調べたところ、中国には贈与税がないそうです。(参考サイト:目から鱗の中国法律事情 Vol.26「中国に贈与税がない理由」 | ビジネス | 香港と深セン・広州情報はPPW)
Netflix版の舞台であるイギリスは個人間贈与は無税、アメリカでは、贈与税は贈った側が支払うそうです。(参考:00235-000474.pdf←日本公認会計士協会作成の2016年度の報告書です)
ということで、贈与税の心配する必要はないということを知っておくと、ドラマや小説をより楽しむことができると思います😊


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