玉骨遥(ぎょっこつよう) 第37話 生と死のはざまで あらすじ
”災いの女であり時影を死なせてしまった自分は側にいられない、二度と会わない”と朱顔は大司命に話した。
3日間が過ぎたら下山するよう大司命は朱顔に命じた。
大司命は、”海皇討伐の際、鮫人の術で時影は霊力を封じられ記憶も混乱しているため九嶷山で静養中である”と説明する文を残していった。
目覚めた時影は文を信じた。
朱顔は侍女として時影の側に仕えた。
朱顔は中陰の気の影響で触覚を失い火傷した。
火傷に気づいた時影は、朱顔の手に薬を塗ってくれた。
時影が湯あみすることになった。
時影の記憶に混乱が生じれば霊魂は消えてしまう。
1人にするのはまずいと思った朱顔は、湯あみを手伝うことにした。
服を脱がせるのも一苦労な様子の朱顔を見た時影は、朱顔が侍女ではないと見抜いた。
問い詰めようとした時影は、朱顔を押し倒し迫った。
時影が蒼梧の淵でキスしたことを思い出してしまうかもしれないと思った朱顔は、”以前申し訳ないことをしたが世話係が必要と聞き過去を償うために仕えている”と説明した。
どんなことをしたのか時影は尋ねたが、朱顔は”思い出せば嫌いになるから”と伝えなかった。
重明や神官からも信頼されている朱顔を見た時影は、朱顔を悪人ではないと結論付け過去のことは許すと言った。
朱顔は時影に知られないよう涙を流した。
先祖の眠る帝王谷を詣でたいと言う時影を、朱顔は帝王谷に連れて行った。
白嫣の衣冠塚が見つからないよう注意をしながら。
朱顔の袖に、道に迷った蛍火蝶が集まっていた。
その子らを母蝶が迎えに来た。
蛍火蝶たちを見た時影は、胸の痛みを覚えた。
心情を察した朱顔は、白嫣に会わせてあげたいと思い 法術で白嫣になり時影の心を癒やした。
時影は、料理の達人だった白嫣が作ってくれる雪薇糕のことや好物の話を朱顔にした。
朱顔は雪薇糕を作るため雪寒薇を法術で作ったが、雪寒薇の香りがしなかった。
朱顔は嗅覚も失っていた。
2日目、朱顔の世話を受けながら時影は、なぜこんなに朱顔を身近に感じるのだろうかと不思議に思っていた。
時影は朱顔を嫌いになったとは思えないと朱顔に話した。
悟られてはいけないと言われている朱顔は、徳の高い時影は嫌い抜いた後は普通に接することができるのだろうと言って誤魔化した。
朱顔が雪薇糕を作ると、時影はとても喜び 朱顔といると心地よく、以前も共に食事をしていたような気がすると話した。
時影は民情を知るため市に行きたいと言い出し、朱顔は重明と相談し遠くの市に連れて行くことにした。
重明は神鳥の姿になり、朱顔と時影を乗せて市に連れて行った。
街で手乗りサイズの小さな白い獣(小白師匠と同じ獣)が売られているのを見つけた時影は、気に入りそうだから朱顔に贈ると言い出した。
朱顔が断っていると、男性が声をかけてきた。
男性は2人を知っており「九嶷郡で…」と話そうとした。
朱顔は売り物の白い獣を法術で逃がし場を混乱させると逃げた。
時影には、平凡な顔だからよく間違えられると言って誤魔化した。
時影のために作る最後の料理をしている時、朱顔は味覚を失っていることに気づいた。
給仕する朱顔は、声がおかしく頬も赤くなっていた。
心配する時影に指摘された朱顔は、季節の変わり目に肌が過敏になる持病があると言って誤魔化した。
朱顔は罪人ではないと心が言っているし、朱顔をとても親しく感じると話した時影は、朱顔を食事の席に着かせ、共に食事をした。
感想
全体的にはご褒美回だと思うのですが、朱顔の五感が次々失われていったり、朱顔は時影が生き返ったら二度と会わないと言ったりと心配なこともありました。
ご褒美に喜んでばかりもいられない、気が抜けない回でした。
朱顔は、自分は一度時影を死なせてしまった災いの女で、腕の中で時影が死んでいくのを見るのは一度でたくさんだから、二度と時影には会わないのだと言っていました。
この話を聞いた感じ、朱顔は時影が亡くなった後も時影にとっての災いの女であり続け、時影が生き返れば再び命を奪うことになるかもしれない、ということなんでしょうね。
大司命は「己の命を用いて朱顔の誅心呪を解くとは」と言っていました(35話)が、18話の時のように”時影にかけられた災いや呪いは解けた”とは言いませんでした。
時影の命を奪うことが二度とないように朱顔は会わない決意をしたんですね。
時影が亡くなった時点で災いの娘の話は無くなったと思っていましたが、そうではなさそうです。
朱顔が宮殿で雪寒薇をとろうとしているところを目撃した時影は、眩しさに目を覆い目を覚ましました。
1話を思い出すような夢でした。
目覚めた時影には朱顔と出会う前の世子時代の記憶しかありません。
目覚めた直後、時影は混乱しながら「今頃父上の誕辰の宴が…」と言っており、1話は北冕帝の誕辰の日でした。
なので、時影は朱顔に出会う直前に記憶だけ戻っているようです。
年齢で言うと12歳です。
大司命からの手紙を読んだ時影は、手紙を信じ記憶に混乱があり静養中という事態を受け入れました。
朱顔はひとまず侍女と名乗りました。
触覚を失い火傷してしまった朱顔に、時影はすぐに薬を塗ってくれました。
とても優しいです。
宮中では、こんな感じで侍女にも親切に過ごしていたんでしょうか。
宮中で働く人たちからもとても人気だったでしょうね。
朱顔の五感については、前回中陰で奮闘する朱顔を見守りながら大司命が解説していました。
『中陰の気に侵されながらも出てこようとせぬが、すでに体は激しく疲弊している。少しずつ五感を失ってゆくだろう』と。
私は中陰にいる間に五感を失うと思っていましたから、出て来てからの朱顔が元気そうにしていたので”大丈夫だったんだ”と勝手に思っていました。
それなのに次々五感が失われていっています。
怖いです。
体の匂いが気になるらしい(?)時影は沐浴をすることにし、朱顔に退席を命じました。
しかし朱顔は1人にして何かあったらまずいと思い、手伝うことに。
ドキドキお風呂タイムの始まりです。
服を脱がせるのに四苦八苦する朱顔を見た時影は、即座に侍女ではないと見抜きました。
そして濡れた薄布1枚の状態で朱顔を押し倒し、真実を述べるよう迫りました。
時影の中身は12歳なので、このシーンはとても健全なシーンだと思われます。
頭では分かっているのですが、なぜかキャ(⋈◍>◡<◍)。✧♡となりました。
迫られた朱顔は、以前申し訳ないことをしたから償いのため侍女として仕えていると説明しました。
本当のことを言いました。
大司命が朱顔を時影のそばに置いていること、重明や神官とも信頼されていることから時影は朱顔が悪人ではないと言い「そなたを許す」と。
朱顔は気付かれないよう泣いていました。
中身が12歳なので、時影はいつもよりもやや天真爛漫な感じで、白嫣の死もしらないので明るかったです。
けれど失われた記憶が感情を揺さぶることはあるようで、蛍火蝶の親子の姿を見て胸を痛みを覚えていました。
白嫣に会わせてあげたいと思った朱顔は、伝書術だと時影には嘘をつき、白嫣に会わせました。
重明が携えた伝言だと時影には言いましたが、白嫣はいませんから伝言もありません。
朱顔は『個人の思いよ現世によみがえれ』と言って術を使っていました。
そういう術があるんですね。
それなら赤淵の思いをよみがえらせることもできるでしょうか。
2日目、時影は”朱顔を嫌いだとは思えない”「そなたといると心地よい」「そなたをとても親しく感じる」と言い、大司命が言っていた通り朱顔への思いを強くしています。
それに対して朱顔は、2日の内に触覚・嗅覚・味覚を失いました。
次回のタイトルは「世子と過ごす最後の1日」ということで、魂を固めるための3日間の最終日が描かれます。
時影は当然成功し蘇ることができると信じていますが、朱顔はどうなってしまうんでしょうか。
かなり心配です。
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